指導員つれづれ

☆第14話「6年生って、なかなかやるなぁ」☆


いよいよ最後の高学年活動、5・6年生が取り組む「卒所旅行」が近づいてきました。

過去最高の18名が参加するということもあり、子ども達は、出足早く冬休みから準備をはじめていました。

しかし、メンバーが多い事に加えて、スポーツをはじめ習い事や中学受験等の事情があり、全員が揃う時間がなく、その日に集ったメンバーが、それぞれで準備をしていくしかありませんでした。

人任せになってしまう子、ただその場にいる子が目につくたびに、職員はどういう対応をするか悩みながら、子ども達の準備をサポートしていきました。

さすがに、熱心に準備をしている子たちが疲れを訴え始め、「ちゃんと、みんな来て欲しいわ・・・」と、愚痴も聞かれるようになりました。

さらに、そのバラバラな感じが、子ども達を焦らせ、イージーミスも続くようになってきました。

でも指導員は、我慢、我慢。

だって、中心に立って、頑張っているのですから・・・。

一生懸命「いい旅行にしよう!」「たくさんの思い出を作ろう!」と考え、努力しているのですから・・・。

そんな矢先、私立の中学校に進学する子が、中学校の登校日である事を理由に、欠席するという連絡が入りました。

受験勉強のために、しばらく学童を離れていた敷居の高さも手伝って、その決心は固いとのこと。

そこで、6年生の男の子達を、それぞれ呼んで、話をしていきました。

「ホンマは行きたいんちゃうかな?」「みんなが、受験が終わるの待ってたん、知ってるやろか?」「卒所式で、旅行の写真ないのん、寂しいよな」「お父さんは、行く気になったら協力するって、言うてくれてるんやけどなぁ」

話を聞いて、「寂しくなった・・・」と、涙ぐむ子もいましたが、それぞれが考え「オレ、電話するわ」「学校で会った時、話してみるわ」「俺もあんまり準備できてないって言うてみよっかな」と、思いつく限りの働きかけをしてくれました。

その中で、特に「これから会って話してくるわ。任せてくれ・・・」と、言った子がいました。

それは、昨年の卒所旅行を、野球の練習と引き換えに休んだ子でした。

自分自身で決めた事とはいえ、今年度の行事にはほとんど参加できず、妹の送り迎えで、かろうじて顔を合わせるだけの時期もありました。

「そうやな・・・おまえ、アイツと一緒やもんな。しっかり自分の気持ち、話してみてん」そう言った途端、1年生の頃のことが、鮮明に思い出されました。

男の子3名と女の子1名が揃って帰ってくるはずが、毎日ケンカばかり・・・、女の子は「またか」とばかりにそっぽを向くし、聞けば口々に言い訳のオンパレード。(笑)

時には、途中の池で遊んで、ボトボト濡れて帰り、大目玉を食らった事もありました。

「一緒がエエし・・・」と、話したその子も、少し目が赤くなっていました。

その夜、お父さんから「宿にて合流します。何はともあれよろしくお願いします。」との連絡がありました。

ついに彼らは、頑なだった仲間の心を動かしました。

「ここまで一緒に来たやん!最後まで一緒に行こうや!」そんな気持ちが伝わってくるようでした。

「6年生は、なかなかやるもんだ・・・」と、改めて思いました。

そして、「10年経ったら、きっとわかるよ。一人ぼっちの子なんかいなかった事・・・。離れていても、思ってくれる仲間がいた事・・・。それがどんなに素晴らしい事か・・・。それがどんなにすごい事か・・・。そのためにお父さんお母さん達が、どれほどの努力をされたか・・・。すべてわかった時、ただただ感謝するしかないんよな。」そんな言葉をかけたくなりました。

「6年生と指導員」の付き合いは、まもなく終わります。

そう思うだけで、すごく寂しくもあり、また悲しくもある職員です。

次は、「OB・OGと友達」の関係が始まる事はわかっていますが、今はしばし、その余韻に浸りたい気もします。

卒所式まで、あと36日・・・。

たくさんの思い出と共に、しっかり送り出してあげたいと思います。 by さるせん

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